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買って嬉しい はないちもんめ まけて悔しい はないちもんめ あの子が欲しい あの子じゃわからん この子が欲しい この子じゃわからん 相談しよう そうしよう 俺が組織からの命令は○○町に組織に非協力的かつ危険な契約者がいるから始末して来いと言う物だった 組織の命令でしかも危険な契約者となれば戸惑う必要はどこにも無く二つ返事でOKした俺だったが今は少し後悔している その契約者はまだ年端も行かぬ少女だったからだ 「おじさん?」 「・・・ん?」 イカン・・・考え事をしていた所為で標的が目の前まで来ている事に気付かなかった 「少しお願いがあるの・・・あの帽子を取ってくれない?風で飛ばされちゃったの」 見ると確かに木に帽子が引っかかっている 本当なら今すぐ始末するべきだったんだろうが相手が子供な事からこの任務に抵抗を感じていた俺は最後の頼み位聞いてやろうと帽子を取ってやった 「ありがとう、叔父さん良い人ね」 「あ、あぁ・・・」 「だからね」 少女が朗らかに笑い 「苦しまないように殺してあげるわ」 背筋が凍る様な声でそう言った 「え?」 俺の戸惑いを他所に後ろにあったマンホールの蓋が飛び、中から巨大な生物が現れる 白いワニ、俺が契約した都市伝説だ 「何?!」 契約者の俺の意思と関係なしに鰐が出てきた・・・どう言う事だ!? 「やだ、組織から私の能力聞いてなかったの? 相変わらず杜撰な所ね・・・最期だから教えてあげるわ 私の都市伝説はね――はないちもんめ」 「・・・まさか」 「はないちもんめ」は有名な童謡だがその歌詞の内容は人身売買の歌だと聞いた事がある 「そ、相手にお金を渡す事で相手の都市伝説や仲間を操る事が出来るようになる・・・それが私のはないちもんめの能力」 「金を渡す・・・だと?」 「鈍いわねぇ、帽子の裏を見て御覧なさい」 言われて帽子の裏を見る 帽子の裏には100円玉が貼り付けてあった 「・・・・・・」 「その100円で、あなたのワニ買わせてもらったわ」 とても楽しそうに笑う少女 こんなの、子供のする表情じゃない・・・ 「子供相手だと油断した時点で貴方の負け・・・食べちゃえ」 少女のその言葉を聞いてワニがこちらに向ってくる 今まで何年も共に戦った相棒が俺に・・・・・・バクンッ クチャ・・・クチャ・・・ 「さよなら、間抜けな叔父さん」
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そして… 疾風「あれ? 新聞?」 新聞部が書いた新聞を手に取り、悪魔の囁きの記事を見る疾風 疾風「悪魔の囁きの本体が倒された…? なるほど。と言うことは他の悪魔の囁きも消えるはず…だよね?」 後ろを見て、 疾風「なのになんでお前は生き残ってるんだよ…」 『知ルカヨ、ソンナン』 疾風に取り憑いていた悪魔の囁きはどういうわけか消えていなかった 「貴方の嫉妬心が強すぎたせいじゃない…?」 ちなみに疾風は悪魔の囁き騒動の最中、新たな都市伝説と契約していた それは『宇治の橋姫』。嫉妬深いことで有名な妖怪である 疾風「なるほどね…。それじゃあ、悪魔の囁きが巨大な海蛇と竜が合わさった生き物みたいになってるのも そのせいなのか…?」 彼に取り憑いていた悪魔の囁きは、彼の強すぎる嫉妬心と『宇治の橋姫』が集めた嫉妬心を食べ、 成長して別の都市伝説に変わっていた。『レヴィアタン』。七つの大罪において、嫉妬を司るとされる悪魔だ 『アー、ソウイウコトカ。ツマリ俺ハ悪魔ノ囁キカラ正真正銘ノ悪魔ニ進化シタワケダ』 疾風「まあ、悪魔の囁きが倒されても僕のすることは変わらない…。滅びろカップルども…ああ、妬ましい」 早速人前でイチャついているカップルを見つける疾風たち 疾風「…人前でイチャつきやがって、妬ましい…! 爆発しろ!」 「本当妬ましいわね…」カツーン、カツーン 疾風がカップルの座っているベンチを爆破し宇治の橋姫が呪いをかける 疾風「くくくくく…いい気味だ…。滅びてしまえばいい…!」 「カップルなんて要らない…。妬ましいだけ…」 『俺ノ出ル幕ネェナ…』 坊池一人が倒されても、カップルは『リア充爆発しろ』の被害にあうのだ。死にはしないが 疾風「今日はそんなにカップルが多くないみたいだね…良かった良かった」 「坊池一人とか言う人が暴れまわったからでしょうね…。平和が一番だわ」 『頼ムカラ無視シナイデクレ…』 疾風「いや、だって流石にお前を召喚したら目立つだろ…」 『ソウカ…ソウダヨナ…』 疾風「まあ、他の都市伝説に襲われたらお願いするかもしれないけどね」 『ソレマデオ預ケッテコトカ…』 疾風「そういうこと」 こうして、疾風のリア充狩りはますますエスカレートしていくのであった… 続く…
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「……ふぅん」 そのチラシを、真っ赤な靴を履いた少女は興味なさげに見つめていた 背後に立つ赤い靴が、少女に尋ねる 「手は出すなよ?」 「わかってるわよ。無理無理。ラスボスどころか隠しボスクラスじゃないの」 そう答え、ぺい、とチラシを捨てる少女 赤い靴は、少女の返答にほっとした …己の契約者に、こんな危険な都市伝説と積極的に戦って欲しくない 赤い靴は己の願いが叶った事に、酷くほっとした 「………」 そして 少女が投げ捨てたチラシを拾った女性が、一人 そのチラシを見て…憂鬱な表情を浮かべた …あぁ、あの都市伝説が、何かこの町に災いを運ぶと言うのか きっと、あの人はこれを見逃さない たとえ、敵わないとわかっていても…取り込まれた人間たちを救おうと そして、「夢の国」それ自体を救おうとして…無理をしてしまうかもしれない 自分の命なんて、顧みず どうか、無茶をしないでください もう、命を落とさないで 彼女には、ただ、祈る事しかできなかった 前ページ連載 - 赤い靴
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(少女 つばさぁぁぁぁぁ!! (翼 ん?ぐふぉッ!? ありのまま、今起こった事を話そう。 ロリっ子が猛スピードで近づいてきたと思ったら、翼の兄ちゃんが蹴り飛ばされた。 比喩じゃない、「飛ばされた」んだ。 (裂邪 兄ちゃぁぁぁぁぁん!? (幸太 うー!衝突事故うーうー!! 何を暢気な事を。 俺とミナワは翼の兄ちゃんに駆け寄った。 後ろで誰かが沈んでたような気がしたがスルー。 (翼 ってぇ・・・何がどうなったんだ? (裂邪 兄ちゃん大丈夫か? 人が飛ぶところ俺初めて見たぜ? (ミナワ それより、私は人が水面を走るのも初めて見ました; ・・・あのロリっ子何者!? ていうか瓜二つの子もいるんだけど双子か珍しい。 (翼 何で俺は望に行き成り蹴り飛ばされたんだ? (少女 悪かったわね・・・翼に聞きたい事があって・・・ (翼 聞きたい事? (少女 その・・・あの・・・ (そっくりさん 大樹に告られたんだけどどうすれば良いかな?だってs (少女 詩織!? ほうほう、蹴飛ばした方が望ちゃんで、そっくりさんが詩織ちゃんか。 そしてこの望ちゃんがどうやら大樹という人に告られたらしい。 それで翼の兄ちゃんに相談に来た、っていう状況判断でおk? 他人の恋愛話を聞くのは初めてだな。しかもまだスタートの段階。 つぅか盗み聞きしてて結構楽しい。いや、誇らしい。 これが「勝ち組」って奴か・・・ (裂邪 [そういや俺ってちゃんとした告白したっけ?] (ミナワ [へ?///] (裂邪 [なんか[ピー!]の後に言っちゃったから、えらく印象に薄いと思わなかったか?] (ミナワ [そ、そんなことありませんよ!ち、ちゃんとご主人様の想いは・・・///] (裂邪 [あとでご褒美あげるからね。] 途中「人殺し」だの物騒なワードが出てたが、まぁこれも気にしない。ロリなら何でもアリだ。 あと一緒にいたスク水ロリは友美ちゃんというようだ。 近くでみると同い年っぽそうだな・・・ (ノロイ ちゅー? (詩織 ノロイ・・・私が辛そうだって? (ノロイ ちゅー そうか・・・ノロイはどうやら泳げるだけでなく人語も話せるようd違う違う違う。 この詩織というロリっ子、ノロイと話しているのか? あぁあれか、正義が白ワニと話すようなもんか。 (ミナワ あ、あの・・・ノロイちゃんとお話できるんですか? (詩織 ・・・アンタは? (ミナワ あ、私はミナワと申します・・・そしてこちらが私のご主人様の (裂邪 黄昏裂邪だ。 (詩織 話って言うか何となくだけどね・・・私都市伝説だし ・・・あ、都市伝説だったのか! それでこの違和感か! 双子じゃなかったのね。 ノロイも都市伝説になりかけとか言ってたし、話せて当然か。 何の都市伝説だ? ドッペルゲンガー? (翼 あ、それと最後に・・・ (望 うん? (翼 そう言う事に興味持つのはわかるけどそこは我慢しろよ? お前まだガキなんだし、いや大丈夫だとは思ってるけど年末のアレg (望 買って嬉しいはないちもんめ!! (翼 うぉっ!? (裂邪 兄ちゃん?! 兄ちゃんが沈んでった・・・なんか可哀想だな、今日の兄ちゃん・・・ てか今この子何て言った? 「はないちもんめ」? てことは「はないちもんめ」と契約してるっての? 今のも、さっきの水面走ったのも全部その能力か・・・童謡強ぇ・・・ ...END 前ページ次ページ連載 - 夢幻泡影
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【上田明也の協奏曲26~同じ旋律は繰り返さない~】 プルルルルルルルル プルルルルルルルルルル プルルルルルルルルルルルルルル ツーツーツー 着信拒否である。 本日45度目の通信なのだがまったく通じない。 橙ともメルとも、携帯電話が通じないのだ。 事務所のメンバーごと、安全の為にサンジェルマンが何処かに匿っているとは言っていたが……。 「……電話に誰もでんわ♪」 語尾を明るくしたところで何も変わらない。 ハンニバルとの戦いで受けたダメージも少しずつ回復を始め、 わずかながら身体を動かせるようになっていた俺はメルに電話をかけていた。 よし、ここは素直に相手を変えよう。 プルルルルルルルル プルルルルルルルルルル プルルルルルルルルルルルルルル 「はい、彼方です。」 「彼方君、上田なんだけどそっちどうよ、吉静ちゃんとか元気かい?」 「あれ、上田さん僕たちが今事務所を離れているの知ってたんですか?」 「ああ、とっくに聞いているよ。」 「そうだったんですか?」 「ああ、天気はどうだい?あとメル達の機嫌が直ったら適当にお土産お願いね。 甘い物が良いなあ。」 「えー、今滅茶苦茶怒ってますよ二人とも。 上田さんがそこまで女にだらしないとは思わなかっただのなんだの。 とりあえずハワイに居ますからマカダミアチョコとかで良いですかね?」 「あっれ、ハワイだったっけか? そう、ハワイか……。 ハワイならまあマカダミアチョコだね。頼んだよ。 それにしても夏休みにハワイって羨ましいなあ…………。」 「指示通りお土産買っておきますから機嫌直してください。」 「ありがとよ、メルにごめんなさいと伝えておいてくれ。」 ……本当に、ありがとう。 あとは彼がこの電話のことをポロッと喋って女性陣にぶっ殺されないと良いなあ。 三秒後 イッツオートマーティッック ソバーニイールダーケデウンチャララチャラララテューラララー 急に携帯が鳴り始めた。 彼方からの電話だ。 俺に居場所を吐いたのが一瞬でばれたらしい。 誘導尋問にかけてごめんね! 俺はさっさと携帯の電源を切ると布団を被った。 「上田さん、起きてますか?」 純は友達と遊びに行くだか宿題が溜まっているだかでここには居ない。 そして男も容赦なく食べてしまうサンジェルマンと今部屋で二人きりだ。 「起きてる!超、起きてる! もう眼とかぱっちり! 身体も動くようになってきたし!」 誰でも良いから早く帰ってきてくれ! 流石に何時掘られるか解らないって嫌すぎるぞ! 「そうですか……、それならちょっと真面目な話良いですかね?」 「まあ良いけど……。」 「上田さん、今回の騒動であなたの容量が一時的に減ってしまった話はしましたよね?」 「聞いた、憑喪神が不味かったんだろう?」 「憑喪神だけが、とは言いませんがあれがかなり良くなかったのは事実です。」 「俺と今契約状態にあるのはメルだけだったっけか?」 「その通り、そこで提案したいのですが……。」 サンジェルマンは俺と契約していた村正を懐から取り出す。 彼が指をパチン、と鳴らすと彼の背後の空間が歪んだ。 「貴方の成長に合わせて、新しい都市伝説をプレゼントしたい。 ハーメルンの笛吹き、赤い部屋、蜻蛉切村正、憑喪神、どれも貴方の力を引き出しきれていない。 違いますか?」 そう言って、サンジェルマンは蜻蛉切を歪んだ空間の中に捨てた。 「私の持つ“オーパーツ”の都市伝説は、私自身の錬金術と併せて超巨大都市伝説群を形成しています。 ですから、『物』の都市伝説ならばそこそこ強力な物が手に入ります。 ですから探せば貴方の“言葉で人を操作する”能力も存分に生かせる都市伝説が手に入る筈です。」 「はぁん、それは良いね。 だが俺の能力値的に何か強力な武器を手に入れたからといって強くはなれないと思うな。 俺の異能はわざわざ戦闘に生かす必要は無い。 むしろ、生かすべきなのは俺の操作系都市伝説に対する適正だろうね。 俺は操作系と放出系の都市伝説に適正が有るんだろう? だったらそれを生かせば良い。」 「……成る程。」 「今言ったことの裏を言ってしまえば俺の弱点は近距離戦闘だ。 それを補うという意味では蜻蛉切は最高クラスの武器だったと思う。 容量さえ足りていれば適正も何も関係なく、一定の近接戦闘能力が手に入るんだから。 でもそれでも敵わない相手が居ると解った今、もはや弱点を補う意味は無い。 俺はそう考えているよ。」 「そうなんですか、私は戦闘が不得手ですから良く解りませんけどね。」 「そうなんだよ。 だから俺としては自分の操作能力を生かせて、 メルのように俺に反抗をしないで、 しかも単純かつ応用の利く能力が良い。 非人間型でなおかつ俺の意志を良く汲み取り従順な僕となる都市伝説。 俺の意志の元に変幻自在に運動する力場のような、純粋な武器としての都市伝説。 遠距離近距離どちらも同じ感覚で精密操作が可能な都市伝説。 替えが効いて常に同じ感覚で使用し続けられる都市伝説。 一つ、面白い心当たりがある。」 「なんですか?聞かせてください。」 サンジェルマンは興味深そうに目を輝かせた。 良かった、どうやら今回は掘られることはないようだ。 さて、数日後。 俺は歩行訓練も始まらないうちから厳しい修行を続けていた。 「お兄ちゃん、只今ー!」 「ここはお前の家か?」 「お兄ちゃんが居るところならそこが私の帰るところだよ!」 はぅん、可愛い。 何この可愛い生命体。 「そうか、恥ずかしいからそういうことあまり言わないの。」 「えへへへ、顔真っ赤にしちゃってえー! …………あれ?私が私が出かける前より傷が増えてないかな?」 「ああ、ちょっと新必殺技の修行をしていたから。 ていうか家族ごまかしてどうやってここに来てるの?」 「サンジェルマンに私の私の部屋とこことを繋げて貰っちゃった!」 「まあ便利設定。」 「とりあえずお兄ちゃん成分補充して良い?」 「俺はサプリメントか何かでしょうか。」 「むしろ主食だね!」 「はっはっは、こーいつぅ!」 最近この子の扱い方を心得てきた気がする。 ガシャン! ガシャン! 訂正、あんまり解ってなかったらしい。 「お兄ちゃん、良く解らないけど怪我するようなことなんてしちゃ駄目だよ! そんなこと私が私が止めちゃうんだから!」 今起きたことをありのままに話したい。 抱きつかれて俺がにやけた一瞬のうちに手錠でベッドに縛り付けられた。 超スピードとかチャチなもんじゃない。 もっと恐ろしいヤンデレの片鱗を味わったぜ……。 ていうかワンピースのどこに手錠を隠していたのかと。 「待て待て純、両手を縛られたら君を抱きしめられないじゃないか?」 「でもお兄ちゃんが怪我しないようにするためだったら……! その為だったら我慢できるよ?」 とりあえず説得を試みる。 甘い通り越して寒い台詞を使ったんだが駄目だった。 俺は新しい僕(トシデンセツ)を呼ぶ為に指を一回鳴らす。 それが鳴り終わるか否かの刹那、手錠は真っ二つになっていた。 訓練は完璧なようだ。 「純、君がどれだけお兄ちゃんを愛していても。 君がお兄ちゃんを縛ることは出来ない。 ―――――――――――――――――――良いね?」 手錠を壊した俺はすばやく純を押し倒すと下手に抵抗されないように両手を強く握った。 このまま口では言えないことをするのも愉快だな……。 いや止めよう、震えが酷い、彼女はこれから何をされるのか解っていない、怖がっている。 「もう一度聞くよ、良いね?」 「………………はぁい。」 震えはゆっくりと収まっていく。 そして不満そうだが、彼女は俺の言うことに従った。 「解れば良いんだよ、何時だって愛してるぜ。お前のチキンスープ、また作ってくれ。」 「うん!」 最後に優しい言葉をかけて心のケアをすることを忘れてはいけない。 彼女は善意から暴走してしまっただけなのだ。 コンコンコン ノックの音。 「入って良いぜ。」 「ああ、お取り込み中だと思ったんですが違いましたか。」 「流石にそれは無いよ。」 「そうですかね? 湖を望む古城で真昼間から二人で怠惰に淫らに身体をむさぼり合うとか中々悪くないですけど。」 「お前の場合は後ろに(ただし男同士で)がつくんだろうな。」 「いえ、女性もいけますよ私。」 「で、今日は何の用だ?」 「いやあ、練習の一環として模擬戦組んでみたんですけど、この後良いですか?」 「良いぜ。純、お兄ちゃんの為にチキンスープ作っておいてくれ。 辛くもないのに俺の舌を満足させるとは中々素晴らしい料理だ。」 「はぁい!」 俺はクローゼットからスーツを取り出して久しぶりに着替えた。 「そういえば模擬戦って相手誰よ、お前の知り合いか?」 「いいえ、私と仲の良い組織の人間、の部下です。 面白そうだから是非やろうと。 昼飯代かかっているんで負けないでくださいね。 ちなみにこれから行くのは組織の本部です。」 「組織?俺って確かあいつら警戒されていた気がするんだけど。」 「大丈夫ですよ、貴方はF№の黒服ってことになってますから。 ほら、これ見せれば一発です。」 ポン、とIDカードらしい何かを渡された。 本当に大丈夫なのだろうか……? 「この城を出るとすぐに本部まで飛ぶんで準備していてくださいね。 これサングラス、それかけておけばバレないでしょう。 まさか組織の本部に貴方が出入りするなんて誰も思わないですし。 どのみち私が貴方をこっそり使っているのとか公然の秘密なんで今更何も無いでしょうよ。」 「どーだかねー。」 「まあ不味くなったらこのパソコンで逃げてください。 赤い部屋を呼び出せるようにしていますけど、 吉静ちゃんの気分次第で閉じ込められるのであまりおすすめしません。」 「使う機会が来ないと願いたいね。」 俺は仕方なくそのパソコンを受け取ると懐にしまった。 「葉さーん、居ますか?」 サンジェルマンの城の地下道を抜けると、本当に一瞬で別の建物についてしまった。 どうやらここが組織の本部らしい。 それにしても片付いてない……何の部屋だ? 「あっれ居ない、おかしいな……。 すいません笛吹さん、少し待っててくれますか?」 「それは良いが喉渇いた。なんか飲み物無いか?」 「ああ、それならこの部屋を出てすぐの所に自販ありますよ。 コーラだけは絶対に飲まないように。」 「了解した。」 俺は誰の部屋か解らない部屋を出ると自動販売機を探した。 コカコーラと書かれた自動販売機を発見、恐らくこれだろう。 適当にお金を………… 「あっ。」 「あっ。」 「……お先どうぞ。」 タイミングはほぼ同時。 レディファーストということで、俺は目の前の彼女に順番を譲ることにした。 「ありがとうございました、見ない顔ですね……。 どこの所属ですか?」 俺はとりあえずIDカードとかいうのを見せてみた。 「F-№6……、なんか何処で見てもおかしくない気がしてきました。 貴方たち何処にでも居ますよね。」 「方針が『好きにしろ』ですからね。今日は№0と訓練がてらここに遊びに来ました。 貴方は……?」 「ああ、私はY-№の……。」 髪をツイン+1テールにした少女。 まあ仮にトリプルテールとしておこうか。 「あれ、前に私たち有ったこと無いですかね?」 「え、俺ってば貴方みたいな可愛い子に会ったら絶対忘れないと思うんですけどね…… なんちゃって。」 「はいはい、どーもありがとーございます。 えっと貴方は確か…………。」 次の瞬間、三尾の少女の表情が変わる。 彼女の顔には一瞬で警戒の色が露わになった。 「あぁ!貴方は!」 「やべっ!」 「お、二人とも居た居た。 サンジェルマンが転移能力の準備してるからさっさと部屋に戻ってきな。」 間一髪のところで後ろから声がかかる。 どうやらサンジェルマンが探していた人らしい。 おや、綺麗な女の子じゃないか。 【上田明也の協奏曲26~同じ旋律は繰り返さない~fin】
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誘拐と人食い 11 薄暗い下水道の奥深く 食料が潤沢な折に、肉を腐らせないように生きたまま保存しておくための檻がそこにはあった 「お前の契約している都市伝説を取り込めば、我々は地上で堂々と、だが誰にも見付からず咎められずに繁栄を謳歌できるのだ」 「……のーさんきゅー」 ぷいと顔を背けるπ-No.1 「つれない事を言うな、我が娘の一人よ。これから家族として我らに取り込まれるのであれば、過去の裏切りなど水に流してやろうではないか」 「ごーほーむー」 「ははは、ここが我らの家なのだがな? まあ今のところは引っ込むとしようか。お前の『インヴィジプル・ピンク・ユニコーン』を我らが一族に取り込む方策は既にあるのだからな」 満足げに笑いながら、牢を後にする『ソニー・ビーン』 残されたπ-No.1の周囲には常に子供達が座り込み、逃亡や救出に備えていた さほど広くないこの空間、例え居場所を確認してテレポートの類で飛び込んできたとしても、少人数ではこの子供達を退ける事は出来ないだろう π-No.1は傍らに佇む姿の見えないピンク色のユニコーンに、契約を解いて離れるよう念を送ってみたが 首を振って頬に鼻先を擦り付けてくる気配だけが返ってきた 彼女はこのユニコーンに取り込まれる事で『ソニー・ビーン一家』でありながら黒服として存在を維持している その結びつきは強固であり、それを解くという事は彼女のほぼ全てをユニコーンに持っていかれるという事である 黒服が都市伝説存在を無理矢理引き離せば、その存在は消滅するだろう もし、彼が 自分が囚われている事で『ソニー・ビーン一家』の殲滅作戦を躊躇うようであれば 己をこの世界から抹消する事で、その後押しをしなければいけない 「さーちあんどですとろーい」 π-No.1こと、ポーラ・フェニックス 『ソニー・ビーン一家』として名前の無かった彼女に、π-No.0が付けた名前 その名前を抱いて消えていけるのであれば、それだけで充分だと 静かに覚悟を決めていた ――― 「いやーまいったまいった。鼻がバカになるよね、下水道にずっと居ると」 汚水で汚れた服を着替え、いつもの黒服姿に戻ったπ-No.0 いつも傍らにいるはずのπ-No.1の姿が見えない事に、周囲の黒服は微妙な違和感を覚えていた 「あ、もしもし、僕でーす。例の契約者や都市伝説の手配どうにかなりそう? うん、できれば速攻で仕掛けるから」 『ソニー・ビーン一家』が下水道に潜んでいると判った時点で、彼らを全滅させる手として水責めを計画していた 直接対峙する事が無ければ、人数差を認識させず無敵能力を発揮させる事も無い 水を操る都市伝説や契約者の力で彼らの巣ごと水流で押し流し、死体も物資も生き残りもまとめて一箇所から排出して一網打尽にする 最悪でも家長の『ソニー・ビーン』さえこれで仕留められれば、これ以上増える事も統制の取れた襲撃をされる事も無くなる 「あいつもね、彼女ごと殲滅しに掛かってくるとは考えてないと思うから。できるだけ早く仕掛けたいからよろしく」 ぷつりと通話を切って、大きく溜息を吐く 「……ま、お互い覚悟の上だし。奴らを仕留められるだけ上々って事かな」 いつもなら、そこで一言可愛らしい声がついてくるのだが 『組織』内を行き交う黒服達の声や足音だけが、やけに耳につく 「一人って、やだね」 そう一言呟いて π-No.0こと、ピーター・ペインは作戦を進めるべく活動を開始した ――― 学校町と隣町の境にある、寂れた喫茶店 その奥の席に座るサロリアスと『人攫いサーカス』の団長の姿は、どう見ても闇金の取り立てと債権者といった雰囲気である 「奴は本当に来るのか?」 「そればかりはなんとも……横も縦も繋がりが希薄、それぞれ自己責任がうちの組織のモットーですんで」 ひっきりなしにハンカチで汗を拭いながら、へこへこと頭を下げる団長 「いやもう来てるんだけどね?」 隣の席で新聞を読んでいた青年が、ばさりと新聞を畳んで笑顔を浮かべる 「時間通りに来るとか、なんか悪っぽくないからさ」 「そんな理由で人を待たせるんじゃねぇ。またシメられたいのか」 「んー、それは恐いなぁ」 へらへらと笑いながら、がたりと席を立ってサロリアスの向かいに座り直す青年 「そこの彼も言ってるけど、うちの組織って自己責任なんだよね。電脳の二人組は入ったばっかりでお約束が伝わってなかったみたいだし、そこの彼は知ってて勝手にやっちゃったわけだし」 「仮にも結社を名乗ってんだ。管理責任はあるだろうが」 「そうは言われてもなぁ。別に代表とかいないし、うちの組織。この場にも、古株だからとりあえずぼくが顔出しただけだよ」 肩を竦ませ、やれやれといった調子で苦笑を浮かべる 「うちの組織を壊滅させたいなら好きにしたらいいさ。ぼくは逃げるけど」 「昔と変わらずやる気がこれっぽっちも無ぇな」 「ぼく、他人に全然興味とか無いから」 「一度くたばっとけ」 「やだ」 ぴりぴりとした殺気とゆるゆるとした気だるさがぶつかり合い、間に挟まれた団長は小さく縮こまっている 「まあ、アレだよね。ぼくらって基本的に悪い組織なわけだし。通知は改めてやるけど、聞かない奴がいなくても知らないよ?」 「その時は潰す。何をされても文句を言うなよ?」 「ぼくらのやってる事自体、文句も有無も言わせないしね。やらかしてるのがバレた奴に何されても文句は言わないよ」 そう言って青年は、ちらりと腕時計を見る 「銀行閉まっちゃうから、こんなとこでいい?」 「遅らせたのは手前ぇの都合だろうが。大体犯罪者が銀行に何の用だ」 「ぼく子供が学校町にいるんだよね。特に親らしい事はしてないけど生活費だけは入れてるんだ」 「人間の子か」 「うん、女の子。別に野垂れ死んでもいいんだけど、お金を使うアテがあるとやる気が出るから飼ってるの」 「攫ったのか?」 「んや、人間の女に産ませたの。ぼくと似た者夫婦で、子供とか全然興味なしで産むだけ産んだら仕事しにどっか行っちゃった」 「やっぱりロクでもねぇな、手前ぇらは」 「うん、よく言われる」 笑顔でそう答えて、伝票を持って席を立つ青年 「じゃ、銀行いってから帰るから。遅らせたお詫びにここの支払いは持っておくよ」 伝票をぴらぴらと振りながら会計に向かう青年を睨みながら、サロリアスは舌打ちする 「相変わらず食えねぇ奴だ……あいつの頭ん中はどうだった?」 「概ね言ったまんまっスね」 青年が座っていた更に向こうの席、いつもの黒服姿ではない上品なスーツ姿の梨々が眉を顰めながら呟いた 「通知をちゃんとやるってのも、子供の話も全部本当っス。何度覗いても嫌な精神構造してるっスよ、あいつ」 綺麗に整えられた髪をくしゃりと掻き回し、サングラスを掛けいつもの顔つきになりながら、梨々はサロリアスの隣に座る 「子供はほったらかしらしいっスけど、あれに育てられてないってだけでちょっとほっとするっス」 「どっちにしろ不憫なもんだがな。まともに育ってりゃ良いんだが」 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
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何故、こうも上手く行かないのか・・・ 今、『組織』の状況は余り良いとは言えない 暗部の消滅 次々と消される過激派の幹部達・・・ あのお人好しやH-№の所為だ あいつ等の所為で『組織』が・・・ 『組織』はもっと強くあらねばならない 都市伝説を管理するのは 怪奇同盟でも 首塚でも 薔薇十字団でも 第三帝国でも メンバーでも 無い 我々だ 我々の組織が全ての都市伝説を・・・ その為にはあいつ等は邪魔なのだ だから奴の契約者に恨みを持つ顎砕き飴をこの町に引き入れたというのに・・・ あの少女は何をやっているのだろう? もう3ヶ月は経つと言うのにまだ結果を出せていないのか・・・ 「彼女には、一度良く言って聞かせる必要がありますね・・・・・・」 そうだ 本当に復讐を遂げたいのならあの様な生ぬるいやり方で良い筈が無い もっと貪欲に、容赦なく、外道に手を染めてでも目的を果たすべきなのだ・・・ 私のように・・・ そう・・・・・・ 『ソウダ、オ前ハ何モ間違ッチャイネェ!!邪魔者ハ全部殺ッチマエ!!』 悪魔に魂を売り渡した私の様に・・・・・・
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これは【口裂け女】を倒した後の、いつかの出来事。まだ朝早くに、ある親子2人がジョギングをしていた。 光彦「正義(せいぎ)、疲れていないか?」はっ、はっ タッタッタ 正義「大丈夫だよ。」はっ、はっ タッタッタ この少年、[黄昏 正義(たそがれマサヨシ)]はある時から休日は父親の[光彦(ミツヒコ)]と一緒にジョギングをするようになった。まだ小学生なのに立派である。 朝日は、親子2人の影を映し出す。いや、3人・・・。【恐怖の大王】もである。 大王も正義少年とともにジョギング、いや飛んでいるのでフライングか、をしていた。 都市伝説も体を鍛える事は可能らしい。昔よりも高く、速く飛べるようになったかもしれない。 ジョギングが終わり、3人は自宅に戻った。例によって1番疲れているのは大王である。 しかし摂食はせずとも大王の体力は自然と回復する、ある意味経済的な都市伝説である。 光彦「正義、だいぶ良くなってきたな。ちょっと前まですぐバテてたのに。」 正義「もう、昔の事でしょ。ボクも鍛えてるんだよ。」 ふーん、と光彦は答えた。その後、正義ははと気付き、すぐさま正義はTVの前へと向かう。 TVには特撮戦隊ヒーロー番組が映し出されていた。正義は特撮好きなのであった。そしてその父も。 OPが流れている時、ふと横を見ると正義の兄、[裂邪(レツヤ)]がいた。 正義「あ、お兄ちゃん居たんだ。」 裂邪「だから『居たんだ』はねぇだろ!」 光彦「仕方ないだろ。正義はジョギングに行ってたんだ。起きるのが遅いお前が悪い。なぁ正義。」 明美「はいはい、朝ごはんですよ。」 正義の母、[明美(アケミ)]が朝食を配る。その時、明美は夫にこんな事を言う。 明美「ねぇミツ、いいかげん[マサヨシ]と呼んだら?」 光彦「別にいいだろ。オレは[セイギ]の方が良かったんだ。」 正義「ボクも[セイギ]でいいと思うよ。」 「なー」と相槌を打つ夫を見て、「もう」言いつつ微笑む妻。そうしている内にCMが明け、また正義とその父がTVを見る。 大王は思う。なんて家族なんだと。 大王「(普通、主人のいう事は絶対なんだぞ。にもかかわらず妻のいう事を聞いて妥協するだと?) (父親からなって無いじゃないか!そもそも息子に[正義]と名付けている時点でダメか。) (家庭崩壊しかけだったら、簡単に誘惑できたんだがなぁ・・・)」 大王はまだ世界征服を諦めてはいない。 だが、正義少年が枷となり、その活動をする事ができないでいる。 正義少年のおかげで【恐怖の大王】は恐怖を与えられずにいた。 食事も特撮ライダーも終わり、TVを消したところで、父が言う。 光彦「よし、そろそろ買い物に行くとするか。」 正義「わーい、ボクも行く!」 裂邪「あ、俺は散歩行くから。」 光彦「全く、裂邪は正義と違って可愛げがないなぁ。」 裂邪「別にいいじゃん。」 大王「(俺はついて行かないとな。)」 そして3人+大王は車で某デパートに着いた。食材を買いに来たはずが、約2名は玩具売り場に行っていた。 明美の説得もむなしく買い物袋の中には特撮系の玩具が入っていた。男のくせに玩具なんて買うとは、大王は情けないと思った。 店員「ひったくりだぁー!!」 不意に店員の声が響く。「別にほっといてもいいだろ」という大王の意見は親子2人には届かなかった。 光彦と同時に走る正義。さらに大王に視線を送る。 大王「はいはい、あれだな・・・。」 大王が念じると店の天井ぐらいに雲ができる。その下を犯人が通ろうとした時に、急に液体が降ってくる。 犯人「うわっ!」ズルッ 犯人は床で滑ってしまった。犯人はすぐに立ち上がろうとしたが滑って立てない。 もがいている内に正義の父が来てしまい、取り押さえられてしまった。 その場にいた者にも分からなかったようだが、大王は『油』を降らせたのである。 床が平らな店内では効果抜群で、時間が経てば証拠ごと消えるため正義が良く使う手である。 実際、周りの人間も何が降ってきたか分からず、周りも濡れていないので幻覚だと思っている。 つまり、大王は捕り物の手伝いをさせられている訳である。 犯人がもがく姿を見るのは楽しいが、何が悲しくてこんな偽善行為をしていられようか。 大王は少々自分が悲しくなっていた。 ここで、正義少年に『正義』のためと称して犯人を傷つけさせたりしたらいいと思った方はおられるだろうか? なかなか良い手だが、正義には無駄である。なぜなら、 正義「いい?こんな事しても(中略)だから盗んじゃダメだよ。それに(後略)」ペラペラ 犯人「・・・。はい、はい、・・・。」コク、コク この『地獄の説教タイム』があるからである。はたして少年の説教で更生する人間はいるのだろうか。 大王「(おそらく人を殺させようとしてもしないだろうな。まずこの性根から叩き折らなければ。) (しかし少年の父よ、頷くな感心するな。)」 こうして、犯人は少年の説教から解放され、警察に連行されるのであった。 その後、この犯人は更生して立派な社会人になったらしいがそれは別のお話。 帰る道中、大王は車の中で考え事をしていた。 大王「(何故、こんな人間と契約なんかしてしまったのだろうか。) (せめてもっと強い人間と契約していればよかったのだが。) (おかげで毎日利用されてばかり・・・。)」 ふと、何かに気付く。 大王「(ん?そういえば、俺と契約してから少年が戦った事はあったか?) (まさか俺が戦っているだけで強くなったと思いこんでいないだろうな。) (よし、次に都市伝説が来たら―――。)」 失敗なら、それでも良い。ただ上手くいけば、或いは・・・。大王の顔に、自然と笑みが浮かんだ。 都市伝説よ、早く現れよ。そう願っていたが、今日は日が沈み、また明日を待つことにするのであった。 正義「おやすみ、大王。」バサッ 大王は黙ったままだったが、正義はそのまま寝ようとした。だが、なかなか寝付けない。いつか感じた事のある、何かの気配を感じる。 正義「大王。」 大王「あぁ、【都市伝説】だな。」 しかしどこから?そう考えている時、正義が言う。 正義「大王、ベッドの下に『石』を1つ降らせてくれない?」 大王「何故だ?まぁ、やってみるが。」 大王の能力で石の落ちる音がする―――と思ったら、何かが暴れる音がした。 急にベッドの下から人が飛び出した。どうやら顔に命中したらしい。ベッドの下にいた男は混乱したのか、窓から飛び出していった。 正義「追いかけるよ。」 大王「了解。」 大王と正義は窓から出て、大王が正義を抱えて飛んだ。 正義「大王、今日機嫌良いね。」 大王「ん?まぁな。」 すぐにあの男に追いついた。男も戦う気のようである。家でよく見る刃物を持っている。 正義「やっぱり、【ベッドの下の男】かな?」 大王「そのようだな。」 【ベッドの下の男】とは、凶器を持った男の事で、『1人はベッドで、その友人は床に布団を敷いて 寝ている時に突然友人は外へ出ようと誘い、しぶしぶ外へ出ると、友人は血相を変えて彼女に 「ベッドの下に包丁を握った男がうずくまっている」と言う。』という話である。 アメリカが始まりとされているが、他の国でも語られていたり、 日本の鎌倉時代の説話集『古今著聞集』にも似た話があるので事実か分からない。 近くに勇弥はいないが、彼が簡潔に話してくれた気がした。 正義「よし、じゃあ行くよ!」 大王「待て。今回、俺は相手にいっさい攻撃しない。」 正義「えっ!なんで?」 大王「理由なんてどうでもいいだろ。さぁ、がんばれ。」 大王が言い終わった頃、正義が文句を言う前に【ベッドの下の男】は攻撃を仕掛けてきた。 自慢の包丁が煌めき、正義を切り刻もうとする。しかし正義はとっさに横へ転がって回避し、大王に言う。 正義「じゃあどうやって戦えって言うのさ!相手は武器を持っているんだよ?」 大王「自分で考えろ。」 正義「だってボクは武器を・・・。そうだ!大王、『剣』を降らせてよ!」 大王「は?だから俺は攻撃しないと」 正義「『攻撃』はしなくていいよ。ただ降らしてくれるだけでいいから。」 自分無しでどれぐらい戦えるか、という意味で言ったのだが。大王はそう思ったが、武器無しではまともに戦えない、下手に戦って死なれるのも困る。おとなしくここは妥協しておく事にした。 大王「“チッ”仕方ないな。」 【ベッドの下の男】の前、少年より若干高いところに紫がかった黒い雲ができる。【ベッドの下の男】は不審に思い後ろに飛んで距離を置く。 逆に正義は雲に近づく。正義が雲の前に来た時、雲から剣が刃を下にして降ってくる。 正義は右手でその剣の柄を掴み、回転させて下に持っていき、剣を両手で構える。 正義「(かっこいい・・・。)」 少年の頭には、魔法か何かで出した剣を持つ勇者が浮かんでいた。しかしどこの世にパジャマの勇者が存在するのだろうか? そんな事も忘れ、正義は【ベッドの下の男】に斬りかかる。 正義「えぇぇい!」ブン! 下男「・・・!」カキンッ! 【ベッドの下の男】はその攻撃を防ぐが、すぐに次の攻撃が来るため、防戦一方である。 大王はふと、正義の武器の扱いの上手さに気付く。 大王「(武器の扱いなんか練習させた覚えは無いのだが・・・。まさかあの特撮ごっこのおかげか!?) (・・・もしそうならば、俺の手下には必ずあの番組を見せる事にするか。)」 打ち合いの果てに、正義の剣が【ベッドの下の男】の腹部を斬る。致命傷ではないが、初めて正義少年が都市伝説に与えたダメージ。 何故か正義が大王のところへ駆け寄る。 正義「どう?ボクだってやるでしょ?」 大王「油断するな。余所見をしているとやられるぞ。」 前を見ると、【ベッドの下の男】がいない。ただ自販機の音が“ヴゥゥーン”と鳴り響くだけである。逃げられた!? 大王「・・・たく、まだ遠くないはずだ!追うぞ!」 正義「うん!」 そう言って2人は急いで追いかけた。正義が自販機の前を通りすぎようとした時、その下から黒いものが出てきた。 とっさに正義は離れたが、どうやら脚を少し斬られたようだ。 正義「つ、た・・・・。何で?!」 大王「『ベッドの下にいる』という事が改変されて、狭い所ならどこでも入れるようになったのかもしれん。」 【ベッドの下の男】は走りだした。どうやら逃げる気のようだ。 正義「くっ、まて!」 【ベッドの下の男】は角を曲がる。怪我をした脚でしっかり走れない正義が何とか曲がろうとした時―――その光景を見て唖然とした。 路上駐車の列だ。ただでさえ問題なのに、今回はさらに何倍も問題だ。 大王「通りすぎたら斬られる、か。下手に覗き込むのも不安だな。」 正義「でも放っておいたら犠牲者が出る。」 大王「小学生が小難しい言葉を。お前も怪我したんだからここは一度退いて」 正義「ボクもやられたから!だから放っておけないんだよ。」 大王は、正義のこの性格を直しておこうと思ってはいたが、やはり直せそうにないようだ。 味方思いとなって良い方向に傾いてくれればいいか。今日は妥協の多い日だ。 大王「“フゥ・・・”分かった。では、どうやってここから追い出す?」 正義「んー、囮はあまり好きじゃないし・・・。大王、『攻撃しなければ』何でもしてくれるよね?」 大王「(またか・・・。)で、何を降らせれば良い?」 一方、【ベッドの下の男】は予想通り車の下で、ただ正義達がこの横を通ろうとするのを待ちつつ隠れていた。 下男「・・・?」 後から妙な気配を感じる。何かに突かれた?何に? 【ベッドの下の男】の頭に最悪のシナリオが浮かぶ―――まさか、あの子どもが?!まずい、刺される!逃げろ! 【ベッドの下の男】は出せる限りの速度で走る。逃げろ逃げろ逃げろ―――。 急に何かにぶつかる。壁?何故こんなところに?いや待て、閉じ込められた?! 後は針、前は壁、左も壁、右は―――光!【ベッドの下の男】はとっさに右に飛び出す。助かっ――― 正義「ボクの勝ちだよ。」 【ベッドの下の男】が出たところには、正義がもう既に剣を構えていた。そして――― 正義「―――いい、だからこんな事をするぐらいだったら(中略)それに包丁は人を斬るためのものじゃなくて(後略)」 下男「・・・。」コク、コク 現在に至る。簡単に説明すると、まず遠目のところに『鉄板』を降らせ、その後『棒』で突いただけである。 暗いところで何かされても、詳しくは分からないので大抵逃げると予想し、 次に鉄板で相手の出口を操作する。これは同時に相手に追い詰められたと錯乱させる事もできた。 もっとも、これは相手が人間のような精神を持っていないと効果は無いのだが。 さらに、正義は剣を【ベッドの下の男】の顔の前、つまり地面に突き刺しただけであった。その後、恒例の説教をしている、という訳である。 無論、正義少年の声は大人達にも聞こえているのだが、もう町の人は当たり前のように思っているらしく、あまり気にしていないようだ。 正義「(前略)だから、キミも良い都市伝説として人を助けたりする事。分かった?」 下男「・・・。」コクコク 正義「じゃあ、もう帰ってもいいよ。またねー。」 こうして、【ベッドの下の男】は正義から解放され、夜の闇に消えてゆくのだった。 大王「本当に良かったのか?逃がしておいて。」 正義「不安だったら大王が倒したら?」 大王「おっと、そうだった・・・。少年、お前は『俺が居るだけで強くなった』と思い込んでいなかったか?」 正義は、はっとした顔で大王の顔を見る。大王は話を続ける。 大王「『虎の威を借る狐』というのか、そういうやつはあまり好きでは無くてな。 (幹部候補の)自分の契約者がそんな人間だと思うと情けないと思ったんだ。」 正義はうつむいてしまった。それでも話は続く。 大王「本当は完全に俺無しで倒してほしかったんだが、少年は自分の力で倒したんだよな。 それはすごい事だ。 それにお前は俺の能力を最大限に引き出す事もできる。それが分かったから俺は充分だ。」 正義「・・・。大王、ありがとう。ボク、分からなかったんだ。 本当に今のままで良かったのか。でもこれで分かったよ。」 大王「(よし順調だな。これで少年を幹部に・・・。)」 正義「大王だけに戦わせてたら、大王に悪いよね。 これからはボクも、都市伝説と戦うよ。『正義』のために!」 うーん、残念。ここからが本番だったんだが、ここでその言葉が出るとは。しかし、俺の能力もまだ限界に達していないようだな。 降らせた武器を手下に持たせて戦わせるとは考えもしなかったからな。 それにしても、【ベッドの下の男】が悪事をしたら、少年はどうする気なのだろうか? ―――数日後、ある泥棒が捕まった。その犯人は、こんな訳の分からない事を言っていたそうだ。 “犯人「ベッドの下から、包丁を持った男が出てきたんだ! そしてその男に追いかけられて、気がついたら交番に・・・。本当なんだ!信じてくれ!」” ―――世界征服への道は遠い。 第3話「晴れ時々鉄」―完― 前ページ次ページ連載 - 舞い降りた大王
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宴会の様子 日焼けマシンの契約者の場合 その5より 少女「女体化マッドガッサーが戻ってきてる?」 チャラ男「みてぇだ・・・さっき首なしライダーの姉ちゃん・・・いや、男だけどが言ってた」 少女「・・・不味いわね」 チャラ男「何が?」 少女「これからこの辺り物騒になるかも」 チャラ男「??」 訳がわからないといった感じのチャラ男に説明してやる 少女「『夢の国』が学校町に来た時の事覚えてる?」 チャラ男「あー何となく・・・確か動物系都市伝説が活発になったりしてたっけ?」 少女「えぇ、多分『夢の国』を恐れてね・・・でも、それ以上の、しっかりした知性を持った都市伝説は『夢の国』を恐れて、身を潜めてた・・・」 チャラ男「つまり・・・」 少女「えぇ、抑止力になってた『夢の国』が居なくなって今まで大人しくしてた都市伝説が暴れ始めるかもしれない・・・しばらく警戒した方が良いかも」 チャラ男「成る程な・・・」 少女「そうでなくても女体化マッドガッサーは見つけた瞬間即キルだけどね」 黒服Dを女体化させるとか、何を考えているのか、次やったら・・・いや次無くても容赦はしない チャラ男「お、おぉ、そうだな」 歯切れが悪い・・・まさか 少女「何?まさかとは思うけど、あわよくばもう一度黒服を女体化させよう・・・とか考えてないわよね?」 チャラ男「んな訳ねーだろ!?」 少女「そう?あの時黒服の胸見て前かがみなってたの誰だっけ?」 チャラ男「グ・・・あ、アレはその、仕方ないだろ?!」 少女「開き直り?これだから男って嫌なのよ」 チャラ男「い、いや、だけどな?」 少女「それよりも、ホモなのか巨乳好きなのかハッキリしなさいよ」 チャラ男「誰がホモだ!?いや、誰に吹き込まれたんな事!?」 吹き込まれたも何も 少女「貴方見てたらそうとしか思えないんだけど?違うの?」 チャラ男「違う!!」 少女「へぇ?さっき将門様に言い寄られてた時は満更でもなさそうに見えたけど?」 チャラ男「違う・・・違うんだ・・・俺はホモじゃない」orz あ、落ち込んじゃった 少女「じゃ・・・あ、引越しは何時でもOKって黒服に伝えといてね~」 調理場には、orzの体勢で蹲ったチャラ男だけが取り残された 前ページ次ページ連載 - はないちもんめ
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ぽちゃん、と滴の落ちる音が響き渡る闇 陽の光が一切届かぬ洞窟の奥へと、人為的な光がゆっくりと進んでゆく 人間、にしては足音が重々しい それもその筈、光を灯し暗闇を歩いていたのは人型のロボットだった 2、3m程の高さのそのロボットは、目的地に辿りついたらしく、ようやく歩を止めた 《迎えに来たぞ、嵩久》 女性の声で、ロボットは誰かにそう呼びかけた ライトに照らされた先には、岩に座っていた半裸の青年が眩しそうに目を覆っていた 「随分早かったじゃないか」 《27回も同じ工程を繰り返したんだ、当然だろう?》 「もうそんなに“死んだ”か。大分期待が出来そうだな」 《早く出るぞ。もうこの景色は見飽きた》 ロボットは早々と今来た道を歩いてゆく やれやれ、とでも言うように首を振りながら、青年――嵩久は立ち上がり、それを追って歩き出した 「次の都市伝説の用意は?」 《既に黒の商人から封印石を55個預かっている》 「流石に鼻が利くな、あの商人……石の中身の詳細は?」 《またしても契約してからのお楽しみだそうだ。あいつは私達を舐めているのか?》 「フフ、まぁいい。強ければそれで良し、だが弱ければそれでも良し 死ねばまた、俺の心の器が大きくなり、都市伝説の容量も多くなる その内、あの「首塚」の平将門や、「組織」の黒服全員とでさえも単独で契約できるようになる…!」 《その度にまた私がこうしてお前を迎えに来なければならない 私としてはさっさと強力な都市伝説を寄越して1日でも長く生きて欲しいものだが》 「…相変わらず怠惰な奴だな」 《お前の過労ぶりこそ心底呆れるよ 幾度となく生と死を繰り返して……よく“死”を恐れないな》 「その先の“生”に恐怖を打ち消す程の希望を見出せるからな ある意味では、お前が俺の希望なんだ」 《……馬鹿》 ふふっ、とロボットは小さく笑った その時、嵩久は不意にまたも目を覆う 外の光が、闇を打ち消していた 「…成程、帰りも早いな」 《お帰りなさい、嘉藤嵩久 28回目の御帰還だ》 そう言って、彼等は洞窟を―――「黄泉比良坂」を出た ...end 「単発もの」に戻る ページ最上部へ